時は、西暦20◯◯年・・・
世界的に女子プロ野球が認められるようになった。
日本もまた、男子プロ野球だけじゃなく、
女子プロ野球の方も人気が上がってきたところだ。
◯◯年のシーズンオフに、
第一回女子プロ野球世界選手権が行われていた。
場所は、日本の地方球場だったが、
大歓声に包まれ、日本代表は健闘した。
残念ながら、世界的に見て、
選手層はまだ薄く、世界の強豪の中では、健闘したが、
予選敗退が決まってしまった。
予選リーグ最終戦
敗退は決まっていたけど、日本代表は
この試合だけは勝つと誓い合い、試合に挑んだ。
私は、この日本代表のトレーナーを務めた。
みんな、どこかしこに故障を持ち、
こんなんでいいのかよ・・・という感じだったが、
どうにか勝たせてあげたい気持ちで
仕事にとりかかった。
中でも、最年長のキャプテン◯◯選手が、
右膝を傷めていて、苦しんでいたが、
前日に、この試合は、
「私にとって、人生最後の試合だから、
どうにかもたせてほしい・・・」と
トレーナー室に顔を出した。
私も持てる技術を尽くして調整した。
そして、試合は始まり、
彼女はどうにか、プレイを続けていたが、
試合は、8回裏で1対3で負けている。
8回裏 2アウト ランナー1塁、2塁
ヒットで一人返せるし、長打なら同点の場面・・・
彼女の最後となるだろう打席が回ってきた。
ユニフォームで隠れているが、
右膝のテーピングで太くなっているのが分かる。
痛々しいかぎりであったが、
最後になるなら、もう思いっきり行け!と叫んだ。
精神を統一して、
打席に向かう。
一球目は高めのボール・・・
二球目・・・思いっきり叩いた!
引っ張り過ぎでファールかぁ~~~と思ったが、
ライトの選手がフェンスまで追っていき・・・
見送った!!!
大歓声とともに、ベンチからすべての選手が飛び出し、
「やった!~~~~」の連呼!
打った彼女も、1塁を回ったところで、飛び跳ねている!
「おい、おい・・・」
ダイヤモンドを一周して、みんなにお出迎えされて
私も彼女とハイタッチをした。
まるで、サヨナラゲームのような騒ぎよう ^^;
そして、試合は、
9回表を抑え投手が締めて、勝利した。
選手、スタッフ全員で大観衆に挨拶をして、
みんなで抱き合い、これが第一歩だと、
今度は、決勝リーグに出て、優勝すると誓いあった。
彼女は、私の前に来て、
「先生! ありがとうございました。私・・・
最後の最後に、人生初のホームランを打てました!・・・」
涙ぐみながら・・・私ももらい泣きしちゃいました。
なでしこジャパンの岩清水梓選手に似た彼女は、
小兵ながら、ヒットを量産していたが、
現役中は、ホームランは1本も打てなかった。
それが、人生最後の試合、最後の打席で
起死回生の逆転3ランを放つことができた。
トレーナーとしてこういう場面に遭遇することが、
一番の楽しみであり、生きがいだと感じた。
これは、【夢】
今朝見た、夢です。
こんなことをトレーナー現役時代に何度も経験したが、
辞めた今でも、こういう夢を見ることが多く、
まだ未練があるのかなぁ~とか思ったりします。
そういう仕事がしたいのです。
自分の為でもあるけど、他人の為にどれだけ自分の
技術を提供できるのか・・・
日々、新しいものを吸収して、技術に磨きをかける。
それが、スポーツを愛する人たちの為になるなら・・・
がんばる!
今の女子プロ野球の選手たち、
頑張ってもらいたい。◯◯年には、きっと実現するでしょうね。
さつま地蔵
矢作治療院 院長 矢作晋
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